ECモール流ドミナント戦略 商品検索戦略の独自手法

通常、モールなどにおける商品検索については「検索結果上位を目指す」というやり方が主流だと思います。

しかしながら、簡単に検索結果上位を目指すといっても、そこに至るまでのプロセスは難易度が高いです。

すでに何万個も売っているような商品やレビュー件数が多い商品などに対して、
新規参入の商品が検索上位を獲得できるほど甘くないのも現実です。

そこでわたくしが独自に考えた戦略のひとつが、「商品検索でのシェアを上げてクリック数を獲得する手法」

名づけて『商品検索ドミナント戦略』です。

ドミナント戦略について

「ドミナント」は英語で書くと「dominant」です。 辞書を開くと「支配的な、有力な、優勢な、支配する、主要な」という意味が載っています。

ビジネスにおける「ドミナント戦略」とは、攻める地域を特定し、その特定した地域内に集中して店舗を出店することを意味します。

経営効率を高める一方で、地域内でのシェアを拡大し、競争優位に立つことを狙うのが目的の一つです。集中して出店することで、色々な場所にバラバラと出店するよりも効率が上がり、そのエリアの顧客を独占することが可能となります。

商品検索でシェアを取る考え方

わたしが名づけた『商品検索ドミナント戦略』は
商品検索内でのシェアを拡大し、競争優位に立つことを狙うことが目的のひとつです。

とくに、モール内全体での検索点数が数百、数千程度といった、商品ジャンル的にまだ未成熟なジャンルでこの方策が有効だと考えています。

わかりやすく解説すると

例えば、500商品という検索結果の中で、
自分たちの商品が50商品の場合、 検索全体に対しての自社商品の割合は10%です。

では、もしも自分たちの商品がその中で250商品あればどうでしょう。

自社商品の割合は50%になり、検索全体で考えた場合に、クリックされる可能性が高くなりますよね。

新規立ち上げの場合でも考えてみましょう。

検索点数が500点の中に参入した場合、

・自社商品が50商品→検索点数550
割合は50/550 9%

・自社商品が250商品→検索点数750
割合は250/750 33.3%
以上のようになります。

もしユーザがこの商品検索結果に毎日1万人訪れたとして、
どれかのひとつでもクリックした場合、シェア率が高いほどアクセスされる数も増えます。

アクセスアップの方法で「商品登録数を増やす」という手法をよくみますが、これは商品検索ドミナント戦略に基づいた考えです。商品があればあるほど、検索結果からクリックされる可能性が高まります。

これを同ジャンル内で行うことが、わたくしの考える「商品検索ドミナント戦略」です。

検索上位の割合を高めることも大切

もちろん検索結果は上位にあればあるほど、クリック率が高くなります。

10,000商品もあるようなジャンルの場合、例えば自社商品点数が3,000点シェア率33%でも、検索結果の5000商品以下に自社商品が固まっていれば、クリック率は相当低くなります。

ですので、シェアを高めた後も検索結果上位に商品を載せるため方策、
販売実績を作り、レビュー数を増やすということは継続的に取り組まなくてはいけません。

商品検索結果ページが少ない場合、
シェアを高めるやり方はとくに効果的

全体の商品点数が少ない場合で考えてみましょう。
通常モールの検索結果点数は1ページあたり、約20~50件程度表示されます。

検索結果が全部で100ページもあれば、全ページを見ようと言う方は少ないと思いますが

10ページ程度であればどうですか?個人差あると思いますが、真剣に探してる商品があるなら。10ページ程度なら全部見てみようって気になりませんか?

検索点数が少ない場合に、この検索点数内のシェアを上げる考え方はとくに有効だと判断します。

シェアを上げるための商品登録について

商品点数が多くない場合、商品検索シェアを取るには、

・複数個販売用の商品カゴを作る(例:3個セット、5個セット、10個セット)
・複数の種類をまとめて販売(日本酒飲み比べ5本セット、10本セット)

このような形で、複数販売のカゴを作り商品点数を増やしていくことが有効です。

また、Yahoo!ショッピングの場合は、出店料金が無料、運営コストもほぼ無料ですので、 複数店舗を立ち上げることも有効な手段です。

純粋に店舗の数だけ商品が増えていきますからね。もちろん、それぞれの店舗について、商品の見せ方(とくに検索結果に表示されるサムネイル)は変える必要があります。表示結果が全て同じような画像になると逆にお客様はどれを選んでいいのかの検討がつかず、検索結果から離脱する可能性も高いです。(型番家具系の商品でそういう傾向があります。)

ここで再びドミナント戦略のお話

セブン-イレブンが成功した要因のひとつとしてもドミナント戦略が挙げられます。一定の距離に出店しているので効率的な配送ルートが設定でき、結果として物流コストの削減効果を得ることができます。販促経費に注目しても、出店している地域が絞られているため広告宣伝費も削減することができます。

さらには集中出店している地域での知名度が高くなり、同時に競合の出店意欲を抑える効果も期待できます。 わたくしはこの効果に注目しています。

検索結果上で、ほとんど1社の商品が独占していたら・・・
おそらく多くの方が「この商品ジャンルはこのお店が強い」と判断されると思います。
この心理的な効果もドミナント戦略の重要な要素です。

商品検索ドミナント戦略では、表示サムネイルも非常に重要

お客様が検索結果で「この商品ジャンルはこのお店」と感じてもらうために、
検索結果表示のサムネイルにもひと工夫が重要です。

ところで質問です。
検索結果表示のサムネイルの持つ役割はなんでしょうか。




一番の役割はクリック率を上げるための役割です。
要するに「クリックされるようなサムネイルを作りましょう」ということですよね。

・訴求力のある写真やコピーをサムネイル内に入れる
・価格訴求の場合は価格を大きく載せる。
・送料無料やポイントでお得な場合、サムネイルにも記載する

などなど、色々なやり方でクリック率を高める試みが行われています。

商品検索ドミナント戦略におけるサムネイルにはもうひとつの役割があります。

それは、 さきほどの「検索結果上で、ほとんど1社の商品が独占していたら・・・」のお話がヒントです。

もうひとつの役割とは、「検索結果上で自分たちのお店を記憶に刷り込ませる」という役割です。

そのための簡単な方法とは、
「表示サムネイルを同じフォーマットで統一させる」ということです。
同じフォーマットでサムネイルを作成すると、検索結果で並んだ時に、ひと目で同じお店の商品だと意識づけることができます。

フォーマットについての参考例を上げると

・枠線をすべて色・太さともにする
・左上や右下などにショップロゴを入れておく。
・文字の配置をどれも同じ位置にする

こういった少しのことで、同じお店という意識をつけることができます。

点数シェアを増やし、サムネイルフォーマットを統一させることで、お客様の脳内では「このジャンルで強いお店は●●だ」、と無意識に植え付けられます。

まとめ

ここで書いた考え方は、後発の新規参入組が少しでも既存店に追いつくために考えだした手法です。

まず、今自分たちが置かれているジャンルにどのくらいの商品点数があるかをまず調べてみてください。

そして自分たちがその中で埋もれないようにするためにどんな方法があるのか。検索結果の上部に広告を載せる方策も予算があれば検討すべきです。

色々な方策があると思いますが、その一手としてこの「商品検索ドミナント戦略」でのやり方も検討してみてください。